家康視点多し。
特に記述が無ければ、関ヶ原になります。他武将も登場する場合には割合が多ければ記述。
関ヶ原、主に家三で小説、たまに絵。史実ネタとその逸話からの独自解釈、捏造改変など混ぜてたり。
基本はゲーム設定に色付け。男前が目標。シリアスで戦国設定濃い目。転生、現代あり。
合戦描写が好きな管理人です。



   黒点   
「それにしても・・・石田殿にはいささか参りましたなあ」

「いやはや。拙者も同感でござる」

「あの妄言にはついていけぬわ」

「お主達」

硬質な声が響く。

「その名は、口にするな、と申したであろう?」

膳を囲んだ席でうっかり口を滑らした輩を家康は見逃さなかった。

柔和な物言いではある。だが、目元は全く笑っていない。

「何か、ワシに言いたい事がおありか?」

「滅相もございませぬ」

そう言った者は蒼褪め、うつむいて震えている。

「そうか?」

小首を傾げる家康。家康から背筋が凍る程の怒気が放たれる。

「ワシの思い違いだったか?すまんな」

にこりと笑って恐ろしい程の光を宿したまま、失言した大名を射貫く。

「嗚呼、そういえば」

退散しようとした大名がびくりと足を止める。

「そちの身辺で妙な話を聞いたのだが。気になってな。後でゆるりと聞かせてはくれまいか?」

いつの時代も、当世の治世に不満がある時、人は謀反人の名を出す。世間に広く三成が天下人への謀反人という形で伝えられてる今、三成の名を出すという事は、処罰の大義名分が確定してしまった瞬間である。将軍となった家康への謀反ありという名分では如何なる大名とて裁きは逃れられない。家康の勘気に触れた事は明白。怒りを出す事は少ないが、一度出したら納まる事は無い。

三成が絡むとなると思わず語気を荒げそうになる家康だが、なんとか踏み止まる。まさか家康が三成に懸想しているとは知られる訳にはいかない。三成を良く思っていない者が多い中、ようやく築き始めた世を自らの手で崩す事になりかねない。それでは、三成が死んだ事が無駄になってしまう。三成を死なせてしまった家康には己の描いた泰平の世だけはなんとしてでも作り守らねばならない。

もう話す事は無くなったと言わんばかりの家康はそのまま広間を後にする。
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