家康視点多し。
特に記述が無ければ、関ヶ原になります。他武将も登場する場合には割合が多ければ記述。
関ヶ原、主に家三で小説、たまに絵。史実ネタとその逸話からの独自解釈、捏造改変など混ぜてたり。
基本はゲーム設定に色付け。男前が目標。シリアスで戦国設定濃い目。転生、現代あり。
合戦描写が好きな管理人です。



   天に願うこと。  ●揺籃
三成と離れて過ごすようになって幾日か。
声を。顔を。姿を。全て脳裏のみに留めるしかなくなった。
今すぐ会いたい。会って話がしたい。一目見るだけでもいい。
実行しようとすれば出来ない事もない。
簡単な事のようでそれが出来ない。そんな立場にあるからだ。
今、家康は東軍の総大将。三成は西軍の総大将。つまりは敵同士。
家康の本意では無いとはいえ、同じ事だ。
合戦の準備は着々と整って来ていた。
それにつれ現実味を帯びる。怖い。
水面下では今も三成へ交渉の書状を絶え間なく送っていた。
返書など来る事も無いが。
理由は分かっている。己が蒔いたのだ。

家康は天を仰ぎ見た。

澄み渡る空。
暑さを増した空に太陽がある。
強い日差しが照り付ける。

眩しさに手を翳した。

高い頂きから眼下を覗む。

視線の先は・・・。
遠くにあり過ぎて視認出来る筈も無い。

「よう。家康」

背後から声。

「独眼竜」

傍らに青の竜。
隻眼の政宗が歩いてやって来た。

「なーに見てんだ」

政宗が家康の横に立つ。
家康の視線と並ぶ。
森と山があるだけ。何の変哲も無い景色。
鳥が飛んでいる訳でも、珍しい雲があるでもなく。
ましてや梅や桜の時期でも無い。
紅葉にはまだ早い。

(何かあるとすれば・・・方角、か)

政宗は家康の顔色を盗み見る。
家康の顔は憂いを帯びているかといえば微妙な所。
総大将ともなれば多少の苦労は当然の事だ。

だが。

普段から家康は何かとある人物の名前を口にしていた。
政宗にとっては苦い思い出の人物の名。

政宗は軽く息を吐く。
政宗も一国主。
己が発言した言葉の重みはよく知っている。

(私怨に狩られるな)

政宗は自分に言い聞かせる。
一呼吸する。

「石田か」

至極普通の声音が出せた事に政宗は安堵した。
何せ相手は徳川家康。これからの日ノ本を統べるであろう人物だ。
政宗にとっても同盟相手。家康は侮る事など出来ない相手だ。

とはいえ、家康の方はというと政宗に必要以上の世辞は求めていないようだ。
―――対等に見ているのか、それとも―――。

政宗の言葉に家康は少し驚いた顔をして笑った。

―――肯定。

政宗は複雑な顔をした。

(シケタのはらしくも無ェ)

「あー、そういえば。明日が何の日か知ってるか?」

「うん?」

家康は突然話を振られて首を捻る。腕を組んで考えた。
家康は言うまでもなく教養人でもある。生まれた時から国主たるべく教育を受けていた。その上で今川義元や織田信長の下で国主とは何かを学んで来たつもりだ。
家康は少し考えてから答えた。

「牽牛の話か」

「毎年、良い笹を取り寄せてんだ。お前もどうだ家康」

「そういえば、牽牛の話にかけて飾り物を始めたんだったな」

伊達の家紋は竹に雀。天に届くかという大きな笹を天上の星の逸話にかけるとはなんとも風流なものだ。
奥州は寒冷地でもあるから豊作などの願いも込めてだろう。

「うん。面白そうだ」

多くの治世を直に見る事が重要。
民の暮らしを見るのが一番となる。

「では、とっておきの地酒を酌み交わすか」

家康は満面の笑みとなる。
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