家康視点多し。
特に記述が無ければ、関ヶ原になります。他武将も登場する場合には割合が多ければ記述。
関ヶ原、主に家三で小説、たまに絵。史実ネタとその逸話からの独自解釈、捏造改変など混ぜてたり。
基本はゲーム設定に色付け。男前が目標。シリアスで戦国設定濃い目。転生、現代あり。
合戦描写が好きな管理人です。



年の瀬

   閑話  ●揺籃
一年も終わりが近い。

そんな中、譜代の大名、武将たちはこぞって宴を催していた。

三成はといえば、相変わらず、同席しようとせずその場を過ぎ去るつもりでいた。

賑やかな席で、あの男を見付ける迄は。

「家康。何を暢気に酒を食らっている」

家康は人の輪に溶け込んで他愛のない会話をしていた。

「ああ、三成。お前もどうだ?」

屈託の無い笑顔で家康は座ったままで立っている三成に盃を掲げる。

「要らん」

三成は一瞥し断る。

「十分飲んだろう。そろそろ立ち退け。新年はもうすぐだ。いつまでも遊んでくれるな」

ほろ酔いの武将たちに水を差す三成。

「硬い事は今日は無しにしてくれや」

酒に酔っているのか三成にタメ口をきく武将。

「貴様。翌日に二日酔いなどという理由で万一遅刻してみろ。貴様の首が落ちるぞ」

「ひっ」

その武将の酔いが覚めるのは三成の一言で十分だった。

「すまん。皆、儂ちょっと所用を思い出した。今日はお開きにしよう」

またな、と空気が最悪になる前に、撤退を促す家康。

家康はほかの武将を気遣って家康は立ち上がり三成と共に渡り廊下迄出る。

「三成、あまり脅すな」

たまには良いじゃないか、と家康はやんわり三成を窘める。

「弛み過ぎだ」

「常に張っていると、糸が切れてしまうぞ」

そう、三成みたいに。そんな三成は未だ見た事がないが、三成は危うい。家康はいつか三成は壊れてしまいそうな気がした。

「そんな事は在り得ない。あの輩は大した働きもしていないぞ」

微妙に話が食い違う。(三成は自覚していないのか)

「なあ三成、今からお前の部屋に行っていいか?」

「何故だ」

家康は三成の屋敷の一部で過ごしている。

家康が豊臣に下った際に半兵衛が家康の住まいの事を思案した時に三成は半兵衛の手を煩わせない様に家康の受け入れを買って出たのだ。

「家康は先程、所用があると言っていなかったか」

大真面目な三成は家康を咎めた。

「悪かった。あの場から抜ける為の方便だ許せ」

三成はじと、と家康を少し見たがそれ以上は追求しなかった。

「・・・まあいい。用事は全て済んでいるのなら来てもいい」

三成は素っ気無く答えた。

三成はここのところ家康に対する態度が少し柔和になった。

家康の働きぶりを認め、家康の刑部への接し方が三成にとってまずまず悪くないというのが三成の家康に対する評価を上げたのだ。

家康が来てから、周囲の武将たちが幾分まとまりを見せている為三成は家康をそれ程怪訝にはしなくなった。

(雑兵共の相手は家康が適任だろう)と三成は認識したが、三成の心の底で家康に依存しているのを自覚していない三成だった。

「有難う三成」

家康の方は己の成果が実を結び出している事に喜びを感じていた。

(三成も以前より心を開いてくれる様になったな)

三成はあまり感情を表さない。三成が何も望んでいないからだ。だが感情が無い訳ではない。微か過ぎて分かりにくいだけ。この乱世で他人の事をあまり構っていられないご時世、不器用な人間は極端に損をする。家康は優れた洞察力で三成の心境の揺れを覚った。

「私は酒は飲まんぞ」

「わかってるさ」

三成が襖に手をかける。開いた部屋は恐ろしく殺風景。文机に刀掛台、筆を仕舞う道具箱、具足櫃など本当に必要な物しか置いていない。

家康は当初此処は空き部屋なのかと思った程だ。

勝手が分からなくて迷い込んだ際に立ち入った家康に三成から何か用かと後ろから問われて初めて三成の部屋だったのだと気付いた。

今思えば、確かにこの部屋は三成が纏っている香と同じだ。

家康は適当に腰を降ろした。

「三成、蕎麦食べよう」

「は?」

家康の言葉に驚く三成。

「まだ食べるのか貴様は」

「だって年越しは蕎麦だろう?三成も食べるだろう?」

(暢気に蕎麦など食らう場合でないだろう。いや年越しの蕎麦なら縁起を担ぐ・・・否、縁起などそんなものは必要はな・・・否、秀吉様の為に行うべきか)

「此処で食べような。三成、儂、誰かに頼んでくる」

三成が拒否をしなかった為家康は三成が肯定と受け取って嬉々として女中に蕎麦を頼みに行った。

蕎麦を手にした家康が三成の部屋に帰ってくる。

暖かい蕎麦を食べながら家康は横目で三成を見る。

三成はあまり食事をしない。三成は家康よりも背が高いのに食べない。食べないのに何故背が大きいのだろう。否、血色が良くない。元から肌が白いが食が細い所為で一層白いのだろう。肌の白さは美しいが、研ぎ澄まされた美しさは棘にもなる。

三成は時間が惜しいと常々口にしていた。だが家康には他にも理由があると踏んだ。好き嫌いがあるのか、何かのアレルギーなのか、胃が小さいのか、人に食事姿を見られたくないのか・・・。今でも検討が付かない。刑部に問うてみたところで回答が得られなかった。

少なくても家康の前で多少は食事もするのを見れる様になったのは確かだ。

「嬉しいな」

「何がだ?」

唐突に家康がそんな事を言ったものだから三成にはさっぱり分からない。

「三成と過ごすのが嬉しい」

「こんなのが嬉しいのか?」

単に食事をしただけではないか。愉快な会話などしていない。三成の尺度では測れない。
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