家康視点多し。
特に記述が無ければ、関ヶ原になります。他武将も登場する場合には割合が多ければ記述。
関ヶ原、主に家三で小説、たまに絵。史実ネタとその逸話からの独自解釈、捏造改変など混ぜてたり。
基本はゲーム設定に色付け。男前が目標。シリアスで戦国設定濃い目。転生、現代あり。
合戦描写が好きな管理人です。
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特に記述が無ければ、関ヶ原になります。他武将も登場する場合には割合が多ければ記述。
関ヶ原、主に家三で小説、たまに絵。史実ネタとその逸話からの独自解釈、捏造改変など混ぜてたり。
基本はゲーム設定に色付け。男前が目標。シリアスで戦国設定濃い目。転生、現代あり。
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狂い陽
<桎梏(しっこく)> ●螺旋
好きだ。三成が何よりも好きだ。手に入れたい。欲しい。
個人的な欲でいえば三成以外はなくたって構わない。
周りは女を囲えと煩いが、儂にはそんな気になれない。だって儂には三成以外は抱きたくないから。
三成はれっきとした男だ。だがだからどうしたというのだ。儂は誓って男色ではない。三成以外の男には興味がないのだから。
子が成せないなんて百も承知だ。衆道を当たり前のように行っている者もいるんだ今更、儂が三成を欲しいと思っていたって普通だろう。否、ほかの人間とは一緒ではない、と自負する。何せ、三成は儂を殺したいと思っている相手なのだから。ほかの人間はまさか自分を殺したいと吐く人間を欲しいとは思わないだろう。儂は狂っているのだろう。
三成を一目見てしまってから儂は狂ってしまったんだろう。
三成を見た瞬間に、ほかの何も感心が無くなってしまう程三成は何よりも美しかった。
泰平の世を望む己が、それよりも先に無意識に三成へと手を伸ばしたのはいつだったか。
今更ながら自分は狂ってしまったものだと思える。
だがそんな儂でも平和な日常を捨て切る事が出来なかった。平和な世で三成と共に生きたかったからだ。
儂の想い人の三成は、儂の気を知ってか知らずか、口を開けば秀吉殿の名前を呼ぶ。隣に儂が居ても秀吉殿を呼ぶんだ。その度に黒い感情が何度も儂を襲った事か。
秀吉殿が泰平の世を望んではいない事を知ってしまってから、儂には秀吉を生かしておく理由が無くなってしまった。三成の心を捉える秀吉を奪って、それから三成を奪おうという気になるのに時間はかからなかった。
天下目前、というところで、儂は行動に出る。三成がいつものように率先して前線に出て行く。秀吉は余裕を見せているが傍らには半兵衛も居ない。殺すのに絶好の機会だ。
だがあくまでも儂は正面から挑もう。男として奇襲だけはしたくなかった。奇襲などしなければ勝てない相手だとも思わない。奇襲して勝っても勝った気にはなれない。もしもこんなところで自分が返り討ちにあうようであればその時こそ自分の器が小さかったと諦めるべきだろう。
儂は一歩一歩ゆっくりと歩む。いつになく地をしっかりと踏みしめる。
これが儂の造る世の始まりなのだ。
儂と秀吉が拳を交えたのを合図に大きな雷が響き渡る。まるで天下の分け目のようだ。天もその時だと知っているのかもしれない。
秀吉との決着が付いた時だった。
三成が秀吉の名前を呼びながらよたよたと走ってこちらに来たのは。
斃れた秀吉を見て、儂を見てきた。
三成のその目は見た物を拒絶するかのような絶望の色を湛えていた。
三成が拳を握る。三成が怒りを込めて走って来る。儂には三成の心の移ろいが手に取る様に分かっているが、それでも儂は止まれない。三成が振り上げた刀を交わして儂は飛んできた忠勝の背に乗ってその場を後にする。儂の名前を憎しみを込めて叫びながら泣いていた。三成のそんな激情の顔は初めて見た。そこで初めて自分が本当にしたい事とは真逆の事をしている実感が湧いた。儂は三成を泣かせたい訳ではない。だがこうするしかなかったんだ。
「三成は儂を憎むだろう」
誰にでもなく儂は呟く。儂は自分の城へ帰還して自室の縁側に寄りかかっていた。
つい先日討った秀吉の感覚、三成の慟哭が目に焼き付いて離れない。
三成が最も愛した男を儂が殺したのだ。誰かが儂に三成を殺されたら儂はきっとその相手を憎んで殺しても殺し足りないのだろう。それを分かっていて儂は三成から秀吉の命を奪った。
自らの愛した人の大切なものを奪っておきながら己は失いたくないなどとは狂気の沙汰以外の何者でもない。
一人で居ると、可笑しくて可笑しくて昏い哂いが止まらなかった。自分が愚かしい。
狂いながらも儂は天下を治める為に準備を進める。
家臣から、三成の挙兵の事を知った。三成は儂を殺すつもりらしい。思った通りだ。
儂は三成に殺されても仕方がない。だが平和な世が欲しい。いつか三成と一緒に住む為の平和が。だから今ここで三成に殺されはしない。ほかへ進軍すると見せかけて急転換した儂の動きを見て三成は泡を食っていた。三成が頼りにしていた武将は三成の普段の苛烈な感情の所為で1人、また1人とこちらに寝返っていく。三成に殺されないように儂が三成を裏切るように仕向けた。
三成は吼えるように儂の名前を呼んだ。何故だか異様に心地がいい。思う様に流れているからなのか、それとも単に三成に名前を呼ばれたからなのか。後者であれば儂はやはりおかしいのだろう。
三成は三成1人になっても構うことなく儂に向かって来る。三成が向かうのを止めてくれたならそのまま儂は三成を愛せるのに。
三成と戦いたくない。三成を殺したくない。眼下の景色を眺める。儂が仕向けたとはいえ皆三成を殺す勢いで三成に群がっていた。だが三成は今この場にいる者が束になっても敵うような相手は見当たらない。三成に紙の如く散らされる命を見ると爽快な気分にもなる。
血を浴びる三成はただ美しかった。怒りをその身に携えても失われる事のない美しさ。
駆け上ってくる三成。儂を視界にいれた事で三成の怒りは爆発する。
三成から向けられる1つ1つが心に染み入って仕方がない。儂は歓喜で身震いする。
「三成」
儂が三成を呼ぶと弾かれた様に立ち止まった。三成の瞳には驚愕に彩られた光。
儂は三成にどう映っているのだろう。
「家康っ」
「三成・・・」
儂は一歩踏み出す。三成が紫色の軌跡を描いて刀を抜き放つ。刀を受けた手甲が火花を散らす。
儂は唐突に三成に手を伸ばした。拳を握るでも投げ飛ばすでもなく。三成が放った刀で腕から血が吹き出る。肉が裂かれる感覚も愛おしい。三成を見た。やはりさっき見た時と同じ様に三成は儂の顔を見て驚いた。
「家康、貴様は何なのだっ」
三成は家康が不気味に思えて後ずさる。
「三成、愛してる」
場違いな告白に三成が固まる。
「何を。貴様は気でも触れたのか」
家康は三成に近付く。三成は一歩後ろに下がる。儂は三成が後ろに下がっても気にせず前へ行く。
とん、と三成が後ろにぶつかった。三成は後ろも確かめずに儂を見たまま後ずさりを繰り返していたから背に控えている大岩に気付かなかったのだ。
「いえ、やすっ」
三成は怯えている。先程迄あんなにも儂を殺したいと喚いていたのに。
「三成」
儂が伸ばした手を振り払いもせずにただ三成は儂を見上げている。三成が儂を見てくれている。なんて心地が良いことやら。
個人的な欲でいえば三成以外はなくたって構わない。
周りは女を囲えと煩いが、儂にはそんな気になれない。だって儂には三成以外は抱きたくないから。
三成はれっきとした男だ。だがだからどうしたというのだ。儂は誓って男色ではない。三成以外の男には興味がないのだから。
子が成せないなんて百も承知だ。衆道を当たり前のように行っている者もいるんだ今更、儂が三成を欲しいと思っていたって普通だろう。否、ほかの人間とは一緒ではない、と自負する。何せ、三成は儂を殺したいと思っている相手なのだから。ほかの人間はまさか自分を殺したいと吐く人間を欲しいとは思わないだろう。儂は狂っているのだろう。
三成を一目見てしまってから儂は狂ってしまったんだろう。
三成を見た瞬間に、ほかの何も感心が無くなってしまう程三成は何よりも美しかった。
泰平の世を望む己が、それよりも先に無意識に三成へと手を伸ばしたのはいつだったか。
今更ながら自分は狂ってしまったものだと思える。
だがそんな儂でも平和な日常を捨て切る事が出来なかった。平和な世で三成と共に生きたかったからだ。
儂の想い人の三成は、儂の気を知ってか知らずか、口を開けば秀吉殿の名前を呼ぶ。隣に儂が居ても秀吉殿を呼ぶんだ。その度に黒い感情が何度も儂を襲った事か。
秀吉殿が泰平の世を望んではいない事を知ってしまってから、儂には秀吉を生かしておく理由が無くなってしまった。三成の心を捉える秀吉を奪って、それから三成を奪おうという気になるのに時間はかからなかった。
天下目前、というところで、儂は行動に出る。三成がいつものように率先して前線に出て行く。秀吉は余裕を見せているが傍らには半兵衛も居ない。殺すのに絶好の機会だ。
だがあくまでも儂は正面から挑もう。男として奇襲だけはしたくなかった。奇襲などしなければ勝てない相手だとも思わない。奇襲して勝っても勝った気にはなれない。もしもこんなところで自分が返り討ちにあうようであればその時こそ自分の器が小さかったと諦めるべきだろう。
儂は一歩一歩ゆっくりと歩む。いつになく地をしっかりと踏みしめる。
これが儂の造る世の始まりなのだ。
儂と秀吉が拳を交えたのを合図に大きな雷が響き渡る。まるで天下の分け目のようだ。天もその時だと知っているのかもしれない。
秀吉との決着が付いた時だった。
三成が秀吉の名前を呼びながらよたよたと走ってこちらに来たのは。
斃れた秀吉を見て、儂を見てきた。
三成のその目は見た物を拒絶するかのような絶望の色を湛えていた。
三成が拳を握る。三成が怒りを込めて走って来る。儂には三成の心の移ろいが手に取る様に分かっているが、それでも儂は止まれない。三成が振り上げた刀を交わして儂は飛んできた忠勝の背に乗ってその場を後にする。儂の名前を憎しみを込めて叫びながら泣いていた。三成のそんな激情の顔は初めて見た。そこで初めて自分が本当にしたい事とは真逆の事をしている実感が湧いた。儂は三成を泣かせたい訳ではない。だがこうするしかなかったんだ。
「三成は儂を憎むだろう」
誰にでもなく儂は呟く。儂は自分の城へ帰還して自室の縁側に寄りかかっていた。
つい先日討った秀吉の感覚、三成の慟哭が目に焼き付いて離れない。
三成が最も愛した男を儂が殺したのだ。誰かが儂に三成を殺されたら儂はきっとその相手を憎んで殺しても殺し足りないのだろう。それを分かっていて儂は三成から秀吉の命を奪った。
自らの愛した人の大切なものを奪っておきながら己は失いたくないなどとは狂気の沙汰以外の何者でもない。
一人で居ると、可笑しくて可笑しくて昏い哂いが止まらなかった。自分が愚かしい。
狂いながらも儂は天下を治める為に準備を進める。
家臣から、三成の挙兵の事を知った。三成は儂を殺すつもりらしい。思った通りだ。
儂は三成に殺されても仕方がない。だが平和な世が欲しい。いつか三成と一緒に住む為の平和が。だから今ここで三成に殺されはしない。ほかへ進軍すると見せかけて急転換した儂の動きを見て三成は泡を食っていた。三成が頼りにしていた武将は三成の普段の苛烈な感情の所為で1人、また1人とこちらに寝返っていく。三成に殺されないように儂が三成を裏切るように仕向けた。
三成は吼えるように儂の名前を呼んだ。何故だか異様に心地がいい。思う様に流れているからなのか、それとも単に三成に名前を呼ばれたからなのか。後者であれば儂はやはりおかしいのだろう。
三成は三成1人になっても構うことなく儂に向かって来る。三成が向かうのを止めてくれたならそのまま儂は三成を愛せるのに。
三成と戦いたくない。三成を殺したくない。眼下の景色を眺める。儂が仕向けたとはいえ皆三成を殺す勢いで三成に群がっていた。だが三成は今この場にいる者が束になっても敵うような相手は見当たらない。三成に紙の如く散らされる命を見ると爽快な気分にもなる。
血を浴びる三成はただ美しかった。怒りをその身に携えても失われる事のない美しさ。
駆け上ってくる三成。儂を視界にいれた事で三成の怒りは爆発する。
三成から向けられる1つ1つが心に染み入って仕方がない。儂は歓喜で身震いする。
「三成」
儂が三成を呼ぶと弾かれた様に立ち止まった。三成の瞳には驚愕に彩られた光。
儂は三成にどう映っているのだろう。
「家康っ」
「三成・・・」
儂は一歩踏み出す。三成が紫色の軌跡を描いて刀を抜き放つ。刀を受けた手甲が火花を散らす。
儂は唐突に三成に手を伸ばした。拳を握るでも投げ飛ばすでもなく。三成が放った刀で腕から血が吹き出る。肉が裂かれる感覚も愛おしい。三成を見た。やはりさっき見た時と同じ様に三成は儂の顔を見て驚いた。
「家康、貴様は何なのだっ」
三成は家康が不気味に思えて後ずさる。
「三成、愛してる」
場違いな告白に三成が固まる。
「何を。貴様は気でも触れたのか」
家康は三成に近付く。三成は一歩後ろに下がる。儂は三成が後ろに下がっても気にせず前へ行く。
とん、と三成が後ろにぶつかった。三成は後ろも確かめずに儂を見たまま後ずさりを繰り返していたから背に控えている大岩に気付かなかったのだ。
「いえ、やすっ」
三成は怯えている。先程迄あんなにも儂を殺したいと喚いていたのに。
「三成」
儂が伸ばした手を振り払いもせずにただ三成は儂を見上げている。三成が儂を見てくれている。なんて心地が良いことやら。
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