家康視点多し。
特に記述が無ければ、関ヶ原になります。他武将も登場する場合には割合が多ければ記述。
関ヶ原、主に家三で小説、たまに絵。史実ネタとその逸話からの独自解釈、捏造改変など混ぜてたり。
基本はゲーム設定に色付け。男前が目標。シリアスで戦国設定濃い目。転生、現代あり。
合戦描写が好きな管理人です。



   黒点   
政務をこなした後どうやって寝所に来たのか覚えていない。

気付いたら、寝所にいた。

夜がとっぷりと暮れていた。

だだっ広い家康の寝所の一角に数本の蝋燭が点っているだけだ。

疲れた。ようやく一日が終わろうとしているのに、こんなに刻の流れを遅く感じた事は無い。

頭痛がする。目眩がする。怠い。目を閉じて軽く頭を振るが気休めにもならない。目頭を摘んで肩を回した。目を覚まさせる為に左の首を左の平で強く圧迫する。

視界に葛籠が写る。一歩二歩歩んで腰を下ろした。

10日程して見事な漆器が家康の元に届けられた。

半畳の畳に緋色の座布団を敷いてその上に漆器を乗せる。
作業を終えた家康は漆器を眺めて陶酔した。

密かに命じた墓石が到着する迄は一緒に居られる。いや、墓石が到着したら、裏庭に設置する。

他国から黒い石を取り寄せる事にした。

(流石に、三成の名は刻めないか・・・)

家康は自分の名を彫るように告げた。

「今日を忘れない為の記念碑として建てる。だからここにはワシの遺骨を分骨で埋めて欲しい。仔細は書に綴ってあるからワシの死後、次期将軍から申し伝えさせる」

早々に家康がそんな事を口にするものだから側近や重臣は酷く動揺していたが家康は決意を押し通した。

夜半に寝所から抜け出し三成を抱えて裏庭に運ぶ。

「もう、今日で最期なのか。三成の顔、もっと見ていたいのに」

美しい満月を背に家康は悲しげな笑みを浮かべる。

葛籠ごと三成を深い穴に下ろすが、なかなか土を被せられない。

「三成っ・・・」

だが無情にも刻は過ぎて行く。墓石も整ったのだ。三成を安らかに眠らせてやろうという思いと自らの哀惜とがない交ぜになって家康を苛んだ。
それでも、空が白んで来る前に済ませなければならない。
そろりと緩慢な動作で土を盛る。少しずつ足元に近付いてくる地面を他人事のように見詰める。

そうして完全に土が家康の足元と同じ高さになっても家康は動く事が出来無かった。

身を切る以上の痛みが胸を締め付ける。
それでも逃げる事は出来ない。

何度も何度も振り返りながらも家康は室へ辿り着いた。





葛籠を取り出した漆器も打ち掛けもそのまま変わらずに留め置く事にした。
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