家康視点多し。
特に記述が無ければ、関ヶ原になります。他武将も登場する場合には割合が多ければ記述。
関ヶ原、主に家三で小説、たまに絵。史実ネタとその逸話からの独自解釈、捏造改変など混ぜてたり。
基本はゲーム設定に色付け。男前が目標。シリアスで戦国設定濃い目。転生、現代あり。
合戦描写が好きな管理人です。



   黒点   
自分の居城に戻った家康は、己の寝所の更に奥に葛籠を据えた。
お気に入りの屏の脇に置く。

下女を呼びつけて、上等な絹の打ち掛けを用意させた。

三成に似合っていた香を焚き染めて衣桁にかける。

ふと、葛籠を見る。

「誰か居るか」

「こちらに」

控えの間から専属の小姓が襖の合間から顔を覗かせる。

「済まないが、この葛籠を入れられる器を設えるように手配してくれるか。黒漆の錦絵を描いて貰いたい。評判の絵師が居たろう?そうだな・・・月と雲母と、鷹がいい。なるべくはやく用意するように伝えておいてくれ」

「は」

小姓は短く返事をすると、袖から尺を取り出し、葛籠の寸法を手際よく測って直ぐ様下がった。

「そうだ。あれも出さないとな」

愛用の薬棚から密閉した透明の硝子瓶を手に取る。品種改良を加えられて匂いが抑えられた高価で貴重な薬だが惜しみも無く開封する。三成の交差された腕と腹の間に薬を置く。

替えに用意されていた家康の小袖に匂い袋を挟んで三成にかける。

「うん。これでいい」


家康は、そうしてようやく戦の事後処理に取り掛かった。

西軍諸大名への罰則として領地の召し上げ。東軍諸将への配分。
最も心を配ったのは、三成の事だ。

三成は気性が激しかった為三成の事を快く思わない輩も少なくない。
三成へ憎悪を向ける輩に黒い感情を覚えたが強く腹の底に沈めた。

三成の骸は家康が既に葬ったと言い包めた。適当な屍を見繕って葬っておいたから大丈夫だろう。

領地を与える際に、全大名を広間に集めて、三成の名を出したり批判した者は厳罰に処すると厳しく言い伝えた。表向きは将軍への謀反、天下の大罪人としての処置だ。

「西軍から合戦の終盤になり東軍に寝返った将の領地は召し上げ、取り潰しとする。途中で裏切る者など、ワシは信用出来ん。また、三成の名を出すようであれば、ワシに弓引く者として、相応の処罰を下すつもりだから肝に命じておけ」

合戦に際して三成を裏切った将へは厳しい処置を施した。
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