家康視点多し。
特に記述が無ければ、関ヶ原になります。他武将も登場する場合には割合が多ければ記述。
関ヶ原、主に家三で小説、たまに絵。史実ネタとその逸話からの独自解釈、捏造改変など混ぜてたり。
基本はゲーム設定に色付け。男前が目標。シリアスで戦国設定濃い目。転生、現代あり。
合戦描写が好きな管理人です。
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特に記述が無ければ、関ヶ原になります。他武将も登場する場合には割合が多ければ記述。
関ヶ原、主に家三で小説、たまに絵。史実ネタとその逸話からの独自解釈、捏造改変など混ぜてたり。
基本はゲーム設定に色付け。男前が目標。シリアスで戦国設定濃い目。転生、現代あり。
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食事
●現代
「あー、ワシ腹空き過ぎて死にそう」
「じゃあ、死ね。死んでくれたらこの上なく私は嬉しい」
「冷た!」
家康の訴えは三成に即座に切り返された。ごく自然に死を望まれた。
思い人に冷たくあしらわれて凹むが、それでも家康は諦めない。
「なあ三成ぃ、冗談じゃなく、本当に腹が空いた」
「勝手にしろ」
家康は三成に食事を誘っているのだが一向に色よい返事がないばかりか、家康の顔すらも見ようとしない。
三成に断られても家康はめげない。めげてたまるものか。
「三成、お前は何を食べたいんだ?」
なんとしてでも一緒に食事をしたい家康は三成の好きな物で気を引こうとする。勿論、三成は食事に関心がない事は重々承知の上であるが。
「要らん。腹が空かない。食事をしたければ貴様が一人で食べれば良いだろう」
三成は家康が何故これ程迄に自分にしつこいのか検討も付かない。空腹ではないので、一緒に食事をする道理がナイ、とキッパリ告げる。自分に必要がないので無駄な時間は割きたく無い、と三成は言っている。
「要らないって・・・朝から何も食べていないじゃないか。外食が嫌なのか?ならば何か買って来よう。何がいい?」
家康は、外に連れ出すのは諦めたが一緒に食事をするという目的だけは諦めない。
三成は人混みは苦手な方である。加えて昨晩からずっと熱心に本を読んでいる。外に行きたくない理由はこれなのかも知れない。
毎回三成の冷たいセリフを聞いた者であれば、いい加減逆キレて本なんか後回しでいいだろう?!とか、本を持って外に出ればいいだろう?!と叫びたくもなるかもしれない。だが、三成なのだ。どんなに熱心であっても子供っぽい言い訳はしない。全くもって非がない理由しか述べないので困る。三成は食事中に本など読まないし一度これをすると決めたならば必ず成し遂げるから本当の理由が察せられる以上はむやみに触れてはならないと家康は学習した。
という事で頭の切り替えの早い家康は食べ物を買って来る、という別の手段を提案した。
「・・・」
三成は本を閉じて視線を床に落としたまま無言。
「何でもいいぞ。何がいい?」
三成は何と答えるべきか悩んでいる様子だ。言おうとしては口を閉じるのを繰り返す。
「・・・食べたい物が分からん」
ようやく呟いた三成はしごく真剣にそう答えた。
「食べたい物が分からない?どういう意味だ?」
「特に食べたいと思える物がない。貴様に任せる」
「えっっ・そうは言ってもなあ・・・」
(三成、脂っこい物は嫌いだし、味の好みが極端だからなあ・・・確かこの間買って来た物も味が薄いとか言って不機嫌だったぞ?その前なんて、嫌いな物が入ってたってカンカンでアレには参った)
「いや、ワシは三成の好みに合わせたいんだが」
「だが、食べたい物が思いつかないぞ。今貴様が食べたいと思う物を言ってみろ。そのジャンルから考える」
「ワシの食べたい物だと三成の口に合わないぞ?カツ丼とか、天ぷらとか、あ、フライドチキンとか」
「全部脂っこい物ばかりではないか」
胃がもたれる、と溜息を付く三成。
「もう何でもいい。私の食が進まなければ後で貴様が食べればいいだろう?さっさと買って来たらどうだ」
三成は、家康が腹減ったと連呼するのが鬱陶しいので追い払う態勢に入った。
「わ、分かった、分かった。じゃあ行って来る」
結局家康は三成の食べたい物を聞きだせずに家を追い出されてしまった。
「うーん、三成が食べられそうな物、食べられそうな物は・・・」
買って来る物の中で言うと天ぷらは近所にはない。遠出すれば食べに行けなくはないが、一人だけ食べられない。そして家康はさっさと用事を済ませて家に帰りたい。
カツ丼は、好きだが、ほかのメニューであろうと三成が食べなかった時の事を考えると量が多過ぎとなる物は買えない。となると、残りは・・・フライドチキンか。
「三成、ただいま」
家康は紙袋をいくつか抱えて帰って来た。
「遅かったな」
家康が紙袋を持ったままドアを閉めようとしていたので三成は家康の腕にある紙袋を受け取った。
「足で閉めるな行儀が悪い」
「すまんすまん」
靴を脱ぎながら家康は机の上に買ってきた物を置く。
「で、何にしたんだ?これだとフライドチキンか?」
やっぱり脂っこい物なのかと三成はやや期待外れだと言うように声を下げた。
「あー、これなら三成も食べられないか?」
家康が手に取ったのは、骨なしのクリスピー。比較的脂っぽさが少ないからと買ってみたのだ。
三成は一応受け取る。気が乗らないと言いつつも齧った。
「どうだ?」
三成の反応が気になる。
「これなら食べられなくもない」
三成から拒否が出なかった。
「それいくつか買ってあるから好きなだけ食べるといいぞ。あとついでにこれなんかも買って来たんだが要るか?」
クリスピーが入っているナンで包まれたクレープ状のサンドだった。トマトやレタスを挟んでいて割りと女性にも人気の商品だ。
家康は三成が安心するように少しだけ包装を破って割って中を見せてやる。
「ん」
三成が興味を示したので、包みごと渡してやる。
三成は黙々とサンドを食べる。
「なんだ?」
三成があっという間に食べきったのを見たのが意外で家康は三成をじっと見ていた。
「貴様、腹が減っていたんではなかったか?何故食べてない?」
三成は家康が空腹だと騒いでいたにも関わらずロクに口に運んでいないのを感じて家康に声をかけたのだ。
「あ、ああ、食べる食べる」
三成に飲み物を渡しながら空腹を思い出して家康は食べたのだった。
(三成が食べてる姿が可愛かったから見惚れてたなんて言ったら三成怒るよな)
三成の食べっぷりが嬉しくて本当は自分の分として買っておいた物迄自分は満腹になったからと嘘ついて三成に与えてしまった。
家康にはかなり足りず胃が落ち着かないが、三成の満足した顔を見れて後悔はない。本望だ。
空腹に我慢しながら家康は空になった包装紙を掴んで紙袋に押し込む。
ふと腕が押された。何事かと首を三成の方に向けたら三成がうとうとと眠っていた。胃が満たされて睡魔が来たようだ。
三成をベッドに横たえるのもいいが、折角自分に寄りかかって眠ってくれたので家康は三成を起こさない様に毛布を手繰り寄せて三成にかけてやった。
「じゃあ、死ね。死んでくれたらこの上なく私は嬉しい」
「冷た!」
家康の訴えは三成に即座に切り返された。ごく自然に死を望まれた。
思い人に冷たくあしらわれて凹むが、それでも家康は諦めない。
「なあ三成ぃ、冗談じゃなく、本当に腹が空いた」
「勝手にしろ」
家康は三成に食事を誘っているのだが一向に色よい返事がないばかりか、家康の顔すらも見ようとしない。
三成に断られても家康はめげない。めげてたまるものか。
「三成、お前は何を食べたいんだ?」
なんとしてでも一緒に食事をしたい家康は三成の好きな物で気を引こうとする。勿論、三成は食事に関心がない事は重々承知の上であるが。
「要らん。腹が空かない。食事をしたければ貴様が一人で食べれば良いだろう」
三成は家康が何故これ程迄に自分にしつこいのか検討も付かない。空腹ではないので、一緒に食事をする道理がナイ、とキッパリ告げる。自分に必要がないので無駄な時間は割きたく無い、と三成は言っている。
「要らないって・・・朝から何も食べていないじゃないか。外食が嫌なのか?ならば何か買って来よう。何がいい?」
家康は、外に連れ出すのは諦めたが一緒に食事をするという目的だけは諦めない。
三成は人混みは苦手な方である。加えて昨晩からずっと熱心に本を読んでいる。外に行きたくない理由はこれなのかも知れない。
毎回三成の冷たいセリフを聞いた者であれば、いい加減逆キレて本なんか後回しでいいだろう?!とか、本を持って外に出ればいいだろう?!と叫びたくもなるかもしれない。だが、三成なのだ。どんなに熱心であっても子供っぽい言い訳はしない。全くもって非がない理由しか述べないので困る。三成は食事中に本など読まないし一度これをすると決めたならば必ず成し遂げるから本当の理由が察せられる以上はむやみに触れてはならないと家康は学習した。
という事で頭の切り替えの早い家康は食べ物を買って来る、という別の手段を提案した。
「・・・」
三成は本を閉じて視線を床に落としたまま無言。
「何でもいいぞ。何がいい?」
三成は何と答えるべきか悩んでいる様子だ。言おうとしては口を閉じるのを繰り返す。
「・・・食べたい物が分からん」
ようやく呟いた三成はしごく真剣にそう答えた。
「食べたい物が分からない?どういう意味だ?」
「特に食べたいと思える物がない。貴様に任せる」
「えっっ・そうは言ってもなあ・・・」
(三成、脂っこい物は嫌いだし、味の好みが極端だからなあ・・・確かこの間買って来た物も味が薄いとか言って不機嫌だったぞ?その前なんて、嫌いな物が入ってたってカンカンでアレには参った)
「いや、ワシは三成の好みに合わせたいんだが」
「だが、食べたい物が思いつかないぞ。今貴様が食べたいと思う物を言ってみろ。そのジャンルから考える」
「ワシの食べたい物だと三成の口に合わないぞ?カツ丼とか、天ぷらとか、あ、フライドチキンとか」
「全部脂っこい物ばかりではないか」
胃がもたれる、と溜息を付く三成。
「もう何でもいい。私の食が進まなければ後で貴様が食べればいいだろう?さっさと買って来たらどうだ」
三成は、家康が腹減ったと連呼するのが鬱陶しいので追い払う態勢に入った。
「わ、分かった、分かった。じゃあ行って来る」
結局家康は三成の食べたい物を聞きだせずに家を追い出されてしまった。
「うーん、三成が食べられそうな物、食べられそうな物は・・・」
買って来る物の中で言うと天ぷらは近所にはない。遠出すれば食べに行けなくはないが、一人だけ食べられない。そして家康はさっさと用事を済ませて家に帰りたい。
カツ丼は、好きだが、ほかのメニューであろうと三成が食べなかった時の事を考えると量が多過ぎとなる物は買えない。となると、残りは・・・フライドチキンか。
「三成、ただいま」
家康は紙袋をいくつか抱えて帰って来た。
「遅かったな」
家康が紙袋を持ったままドアを閉めようとしていたので三成は家康の腕にある紙袋を受け取った。
「足で閉めるな行儀が悪い」
「すまんすまん」
靴を脱ぎながら家康は机の上に買ってきた物を置く。
「で、何にしたんだ?これだとフライドチキンか?」
やっぱり脂っこい物なのかと三成はやや期待外れだと言うように声を下げた。
「あー、これなら三成も食べられないか?」
家康が手に取ったのは、骨なしのクリスピー。比較的脂っぽさが少ないからと買ってみたのだ。
三成は一応受け取る。気が乗らないと言いつつも齧った。
「どうだ?」
三成の反応が気になる。
「これなら食べられなくもない」
三成から拒否が出なかった。
「それいくつか買ってあるから好きなだけ食べるといいぞ。あとついでにこれなんかも買って来たんだが要るか?」
クリスピーが入っているナンで包まれたクレープ状のサンドだった。トマトやレタスを挟んでいて割りと女性にも人気の商品だ。
家康は三成が安心するように少しだけ包装を破って割って中を見せてやる。
「ん」
三成が興味を示したので、包みごと渡してやる。
三成は黙々とサンドを食べる。
「なんだ?」
三成があっという間に食べきったのを見たのが意外で家康は三成をじっと見ていた。
「貴様、腹が減っていたんではなかったか?何故食べてない?」
三成は家康が空腹だと騒いでいたにも関わらずロクに口に運んでいないのを感じて家康に声をかけたのだ。
「あ、ああ、食べる食べる」
三成に飲み物を渡しながら空腹を思い出して家康は食べたのだった。
(三成が食べてる姿が可愛かったから見惚れてたなんて言ったら三成怒るよな)
三成の食べっぷりが嬉しくて本当は自分の分として買っておいた物迄自分は満腹になったからと嘘ついて三成に与えてしまった。
家康にはかなり足りず胃が落ち着かないが、三成の満足した顔を見れて後悔はない。本望だ。
空腹に我慢しながら家康は空になった包装紙を掴んで紙袋に押し込む。
ふと腕が押された。何事かと首を三成の方に向けたら三成がうとうとと眠っていた。胃が満たされて睡魔が来たようだ。
三成をベッドに横たえるのもいいが、折角自分に寄りかかって眠ってくれたので家康は三成を起こさない様に毛布を手繰り寄せて三成にかけてやった。
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