家康視点多し。
特に記述が無ければ、関ヶ原になります。他武将も登場する場合には割合が多ければ記述。
関ヶ原、主に家三で小説、たまに絵。史実ネタとその逸話からの独自解釈、捏造改変など混ぜてたり。
基本はゲーム設定に色付け。男前が目標。シリアスで戦国設定濃い目。転生、現代あり。
合戦描写が好きな管理人です。



   黒点   
瞼を起こすと心地良い空気。
家康は微睡んでいた。

鼻腔から吸う酸素で肺が収縮する。
視界に映るのは殺風景な部屋。

身を上げる。ぼんやりと見詰める。次第に鮮明になる思考。
静まり返った室内。己以外の人の気配は無し。一人であると認識して身震いする。

己の手を握りしめる。
先刻迄感じていた視線、言葉、温もり。全て・・・夢か。
あれが夢では無く現実であったならば。
そう願うのは何度目か。

見る事も。声を聞く事も。触れる事すらも出来ない。己を見て欲しい。触れて欲しい。呼んで欲しい。
目に映る空間は三成だけが居ない。
三成が死んだという結果だけが浮いている。事実は認められない。心が拒否している。
どんなに呼吸しても、動悸は静まらない。

また顔が歪む。涙は出ない。枯れてしまったんだろうか。
苦しくて柱に身体を倒す。浅く呼吸を繰り返す。

「・・・馬鹿野郎。しっかりしろ」

己を叱責して立ち上がる。

弱々しい所作。空を見上げる。流れる雲の隙間から太陽が差し込んでいる。眩しくて目を細めた。

「江戸に帰ろう」

庭で遊んでいた馬の首に触れる。








江戸城に帰って来る頃にはとっぷりと日も暮れていた。
栄え出した己の城下。楽しそうに笑う子供。平和な町。夜でも賑やかな江戸の町。
数多の行灯に照らされて真昼と変わらぬ人の往来。

「大きな戦が無くなってそれ程経っていないのに、随分と昔の事に思えるな」

そういえば、最近は城に篭もりきりだった。

三河の家臣たちならばそうそう家康の行動に不満を漏らす筈も無いが、それでもやはり天下人が頻繁に城から抜け出すのは良いとは言えない。

多くもない機会を満喫しようと家康はゆっくりと城下を歩く。

ちらちらと感傷が横切るが気付かないフリをする。

小腹が空いたので菓子を買い求めては口に放る。

町人と程良く会話をして、そろそろ城に入ろうと思い出した。

一寸先に、見覚えのある姿を見付けて固まる。

喧騒の中、家康の時間だけが止まる。

人波に吸い込まれて消えて行こうとする後ろ姿を必死に追った。


どのくらい時が経ったのか。

三成の姿を求めて追って。
家康は頭を冷やす為に、井戸へ向かった。
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