家康視点多し。
特に記述が無ければ、関ヶ原になります。他武将も登場する場合には割合が多ければ記述。
関ヶ原、主に家三で小説、たまに絵。史実ネタとその逸話からの独自解釈、捏造改変など混ぜてたり。
基本はゲーム設定に色付け。男前が目標。シリアスで戦国設定濃い目。転生、現代あり。
合戦描写が好きな管理人です。
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特に記述が無ければ、関ヶ原になります。他武将も登場する場合には割合が多ければ記述。
関ヶ原、主に家三で小説、たまに絵。史実ネタとその逸話からの独自解釈、捏造改変など混ぜてたり。
基本はゲーム設定に色付け。男前が目標。シリアスで戦国設定濃い目。転生、現代あり。
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一
囲いの中で
家康の寝室の裏に一際高い塀があり、その後ろには鬱蒼と茂る青竹の竹林がある。良く目を凝らして手探りをしなければ気が付かない程狭い隙間が実はある。
人がようやく一人通れる程の一本の道になっていて延々と何キロも続くこの竹林は公には城が攻め込まれた際の脱出経路として使われるものだと言われている。
枯れた古い池跡の脇にあるこの竹林は家康以外が通る事はまずない。
家康は通るという事実である。
この竹林にも仕掛けはあって、暫く歩いた辺りにひっそりと獣道がある。獣道の先は急な斜面になっているが石があるので注意深く足を降ろせば下に降りられるようになっている。大木が倒れて暗くなっている隙間を潜って進むと竹林の下を潜って別の道に出られるようになっている。竹林とその街道は本来別の経路でしか通る事が出来ないようになっている。
ここ迄家康が手間も時間もかけても行きたいところがあった。
全てから隔離されたような場所に建てられた屋敷。
家康はこの屋敷に入って行く。
「具合はどうだ三成」
入って真っ先に三成の様子を見る。
三成は両手を縛られ柱に張り付けられていた。
三成に噛ませていた馬の銜を外してやる。家康が傍にいないと舌を噛み切ろうとするからだ。
「私を殺せ」
何度聞いたか分からない言葉を家康は聞いた。
「殺さない」
「何故だ!」
「お前が好きだからだ」
三成は家康が殺す気がないと語る度に噛み付こうとする。
三成の脇に置いておいた膳を見る。
やはり口は付けていないようだ。
「毒なんて盛っていないぞ。お前に生きていて欲しいから用意しているだけだ」
「私は生きていてもろくな事がないぞ家康」
「仕方が無いな・・・」
手際よく懐から竹筒を取り出して中身を口に含んで三成に口付ける。
三成が飲み込める様に溶かした重湯を三成に流し込む。
強引に首を圧迫して三成が本能で酸素を求める隙に何度も口伝いで流し込む。恵まれた体格の家康には細い三成の身体を押さえるのに苦労はない。慣れた手付きで何度か繰り返す。
三成がむせる。
「ここ迄して私を生かす意図が分からん」
「儂は三成に生きていて欲しいだけだ」
「貴様が、秀吉様を亡き者にした貴様が憎い!死ね!殺してやる!」
三成は暴れるが頑丈な柱から一歩も動けない三成は床を蹴りつけるだけ。
「貴様を許さない!」
「許してくれなくていい。儂を殺してもいいがそれはまだだ。まだ死ねない。まだ成す事があるんだ」
苦い思いを噛み潰す。
「貴様のその思考が高慢だ!頭を垂れろ!」
「三成は」
強い語気。
「三成は、またあの地獄絵図を繰り返せと言うのか?三成の様な者が増えるのを望んでいるのか?三成、お前の様に、心から慕う者の命をずっと散らし続けろと言うのか?」
家康の鋭い目が三成を射抜く。秀吉を思い起こす、否それ以上の覇気、憎悪を孕んだ色だ。
「三成。本当は、秀吉殿を殺したくはなかった。秀吉殿が泰平の世を望んでいれば、儂には天下が誰が治めていたっていいと思ったからこそ一時は秀吉殿の元で働いたんだ。だが秀吉殿は常に戦の事ばかり。秀吉殿はお前の身など案じてもいなかったぞ。そんな人が上に立っていては駄目なんだ三成」
「詭弁だ。結局のところ貴様は、天下が欲しかったんだろう?!秀吉様が邪魔なだけだったのだろう?秀吉様に尽くせるのならば私なぞどうなったって構わない!なのに貴様は、秀吉様を殺したのだ!!!返せ!秀吉様を返せ!!!」
「三成。もしも秀吉殿が病や矢傷で倒れていたとしたら、三成はどうした」
今三成が秀吉の命を奪った家康に対して怒りをぶつけているが秀吉が天寿や病で亡くなったっていたとしたらどうだったろう。即刻自決していたのではないだろうか。
家康は、三成が悲しみに暮れても其の場で果てずに居てくれるように秀吉を討てた事に些か良かったとも思っている。三成の性格ならば、必ず復讐に来ると思ったからだ。秀吉が死んでも三成が死なない方法は正々堂々と自分が下手人だと鮮明に見せてやる事だった。
「私の命なんて関係ない!!!」
自ら死を望む三成に怒りを覚える。三成の襟元を掴んで柱に擦る様に押す。
「・・・三成・・・なんでそんな事言うんだ」
家康は三成の肩口に頭を落とす。
「三成、なんで。・・・お前に生きていて欲しいんだ。生きていてくれ。頼むから」
「家康・・・」
命乞いをしてきた顔も覚えていない兵ですら何も感じなかったというのに。
目の前の男は償いとしていつか己に殺されてもいいからそれ迄の間は生きてくれと懇願する。自分を殺してもいいなどと言う家康はどうかしているのかもしれない。
死にたい、殺してくれと叫ぶと、何故か家康が悲しい顔をする。私は殺さるに値する事をし続けてきたのに。
「私は家康を許せないのに何故家康は私を許せる?!私は天下人を殺しかけた罪人だぞ?!貴様は天下が欲しいのだろう?世は私なんて認めない!私を殺せ!」
「三成、お前は儂を案じてくれてるのか?世が三成の死を望もうとも儂が三成を殺させない。死なせない。誰にも文句は言わせない。今度は守ると誓おう」
三成は三成が欲して止まないものを全て持ち合わせている家康が憎かった。求めても求めても平から落ちていく全てを家康は容易く手に入れて笑うのだ。
人がようやく一人通れる程の一本の道になっていて延々と何キロも続くこの竹林は公には城が攻め込まれた際の脱出経路として使われるものだと言われている。
枯れた古い池跡の脇にあるこの竹林は家康以外が通る事はまずない。
家康は通るという事実である。
この竹林にも仕掛けはあって、暫く歩いた辺りにひっそりと獣道がある。獣道の先は急な斜面になっているが石があるので注意深く足を降ろせば下に降りられるようになっている。大木が倒れて暗くなっている隙間を潜って進むと竹林の下を潜って別の道に出られるようになっている。竹林とその街道は本来別の経路でしか通る事が出来ないようになっている。
ここ迄家康が手間も時間もかけても行きたいところがあった。
全てから隔離されたような場所に建てられた屋敷。
家康はこの屋敷に入って行く。
「具合はどうだ三成」
入って真っ先に三成の様子を見る。
三成は両手を縛られ柱に張り付けられていた。
三成に噛ませていた馬の銜を外してやる。家康が傍にいないと舌を噛み切ろうとするからだ。
「私を殺せ」
何度聞いたか分からない言葉を家康は聞いた。
「殺さない」
「何故だ!」
「お前が好きだからだ」
三成は家康が殺す気がないと語る度に噛み付こうとする。
三成の脇に置いておいた膳を見る。
やはり口は付けていないようだ。
「毒なんて盛っていないぞ。お前に生きていて欲しいから用意しているだけだ」
「私は生きていてもろくな事がないぞ家康」
「仕方が無いな・・・」
手際よく懐から竹筒を取り出して中身を口に含んで三成に口付ける。
三成が飲み込める様に溶かした重湯を三成に流し込む。
強引に首を圧迫して三成が本能で酸素を求める隙に何度も口伝いで流し込む。恵まれた体格の家康には細い三成の身体を押さえるのに苦労はない。慣れた手付きで何度か繰り返す。
三成がむせる。
「ここ迄して私を生かす意図が分からん」
「儂は三成に生きていて欲しいだけだ」
「貴様が、秀吉様を亡き者にした貴様が憎い!死ね!殺してやる!」
三成は暴れるが頑丈な柱から一歩も動けない三成は床を蹴りつけるだけ。
「貴様を許さない!」
「許してくれなくていい。儂を殺してもいいがそれはまだだ。まだ死ねない。まだ成す事があるんだ」
苦い思いを噛み潰す。
「貴様のその思考が高慢だ!頭を垂れろ!」
「三成は」
強い語気。
「三成は、またあの地獄絵図を繰り返せと言うのか?三成の様な者が増えるのを望んでいるのか?三成、お前の様に、心から慕う者の命をずっと散らし続けろと言うのか?」
家康の鋭い目が三成を射抜く。秀吉を思い起こす、否それ以上の覇気、憎悪を孕んだ色だ。
「三成。本当は、秀吉殿を殺したくはなかった。秀吉殿が泰平の世を望んでいれば、儂には天下が誰が治めていたっていいと思ったからこそ一時は秀吉殿の元で働いたんだ。だが秀吉殿は常に戦の事ばかり。秀吉殿はお前の身など案じてもいなかったぞ。そんな人が上に立っていては駄目なんだ三成」
「詭弁だ。結局のところ貴様は、天下が欲しかったんだろう?!秀吉様が邪魔なだけだったのだろう?秀吉様に尽くせるのならば私なぞどうなったって構わない!なのに貴様は、秀吉様を殺したのだ!!!返せ!秀吉様を返せ!!!」
「三成。もしも秀吉殿が病や矢傷で倒れていたとしたら、三成はどうした」
今三成が秀吉の命を奪った家康に対して怒りをぶつけているが秀吉が天寿や病で亡くなったっていたとしたらどうだったろう。即刻自決していたのではないだろうか。
家康は、三成が悲しみに暮れても其の場で果てずに居てくれるように秀吉を討てた事に些か良かったとも思っている。三成の性格ならば、必ず復讐に来ると思ったからだ。秀吉が死んでも三成が死なない方法は正々堂々と自分が下手人だと鮮明に見せてやる事だった。
「私の命なんて関係ない!!!」
自ら死を望む三成に怒りを覚える。三成の襟元を掴んで柱に擦る様に押す。
「・・・三成・・・なんでそんな事言うんだ」
家康は三成の肩口に頭を落とす。
「三成、なんで。・・・お前に生きていて欲しいんだ。生きていてくれ。頼むから」
「家康・・・」
命乞いをしてきた顔も覚えていない兵ですら何も感じなかったというのに。
目の前の男は償いとしていつか己に殺されてもいいからそれ迄の間は生きてくれと懇願する。自分を殺してもいいなどと言う家康はどうかしているのかもしれない。
死にたい、殺してくれと叫ぶと、何故か家康が悲しい顔をする。私は殺さるに値する事をし続けてきたのに。
「私は家康を許せないのに何故家康は私を許せる?!私は天下人を殺しかけた罪人だぞ?!貴様は天下が欲しいのだろう?世は私なんて認めない!私を殺せ!」
「三成、お前は儂を案じてくれてるのか?世が三成の死を望もうとも儂が三成を殺させない。死なせない。誰にも文句は言わせない。今度は守ると誓おう」
三成は三成が欲して止まないものを全て持ち合わせている家康が憎かった。求めても求めても平から落ちていく全てを家康は容易く手に入れて笑うのだ。
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